Coretax とは【2026年版】日系企業が最初に設定すること・毎月の流れ・つまずきやすい点
Coretax は、2025年1月からインドネシアの税務の手続きをまとめて行うオンラインのシステムです。日本語の実務情報がほとんど無いので、会社として最初に設定することと、毎月の流れ、そして私たちが自社の書類を取り込むまでに実際につまずいた点をまとめました。
最終更新:(制度は公式資料・法令で確認)· PT KAZENA GLOBAL BUSINESS
この記事の要点
- Coretax の根拠は財務大臣規則 PMK 81/2024。2025年1月以降の期間は Coretax で手続きします(2024年分までは旧システム側)。
- 会社用の共有パスワードはありません。会社が指定した責任者(PIC)が自分の個人アカウントでログインし、会社として操作します。外国人の役員も PIC になれます。
- 署名に使う電子証明書・認証コードは個人のアカウントからだけ申請できます。社内の担当者には「作成」「署名」の2種類の役割を付けます。
- 毎月の流れ:Faktur(翌月20日までアップロード)→ 源泉徴収票 → 納付は翌月15日(PPN は翌月末)→ PPh の申告は翌月20日、PPN の申告は翌月末。
- 2026年10月1日から、修正申告は「差分」ではなく「置き換え」になりました。
- 書類の取り込みは XML。税務番号は登録簿と照合され、形が正しくても実在しない番号は通りません。
Coretax とは
Coretax(正式には税務行政の中核システム)は、インドネシア税務総局(DJP)のオンラインのシステムで、2025年1月から使われています。以前は、申告はこのサイト、電子インボイス(e-Faktur)は別のアプリ、源泉徴収票はまた別のアプリ、と手続きが分かれていました。Coretax はそれを1つの入口にまとめたものです。ログインは coretaxdjp.pajak.go.id です。
| 以前 | Coretax(2025年1月以降の期間) | |
|---|---|---|
| 申告 | DJP Online(e-Filing) | Coretax |
| 電子インボイス | e-Faktur Desktop/Web | Coretax(差替え・取消は Coretax だけ) |
| 源泉徴収票 | e-Bupot | Coretax(eBupot の機能) |
| 会社のログイン | 会社のパスワード | 責任者(PIC)の個人アカウントから会社として操作 |
| 取り込むファイル | CSV など | XML(DJP がテンプレートと変換ツールを公開) |
根拠は財務大臣規則 PMK 81/2024 です。これまでに4回改正されていますが、2026年1月の PMK 1/2026 で変わったのは定義と組織再編のときの規定で、毎月・毎年の申告や納付の流れは変わっていません。2024年12月までの月次と2024年分までの年次は、旧規則・旧システム側で扱います。
会社として最初に設定すること
- 1
責任者(PIC)を決める
PIC は会社を代表して Coretax を操作する個人で、全権を持ちます。代表取締役でなくてもよく、定款に載っている役員か、経営陣から正式に任命された従業員(たとえば財務担当の役員)がなれます。異議申立と振替の申請は、今のところ PIC しかできません。
- 2
外国人の役員が PIC になるなら、先に本人を登録する
外国人も PIC になれますが、先に本人が Coretax に登録しておく必要があります。居住者なら NPWP を登録し、非居住者ならアカウントを有効化します(DJP の公式アカウントの回答)。
- 3
個人アカウントで初回ログイン
DJP Online のパスワードは使えません。初回は「Lupa Kata Sandi(パスワードを忘れた)」から設定します。ID は16桁の NPWP(居住者の個人は有効化した NIK)です。登録したメールや電話番号が分からなければ、税務署(KPP)で変更します。
- 4
PIC が会社として操作し、担当者を登録する
会社の一般情報から関係者(Pihak Terkait)を追加し、PIC にする人には「Apakah PIC?」に印を付けます。担当者も先に関係者として登録しておきます。
- 5
担当者に役割を付ける
役割は「作成(Drafter)」と「署名(Signer)」の2種類です。PIC が付与し、反映には担当者がいったんログアウトして入り直す必要があります。過去5年分の申告を見られるのは PIC と署名者だけです。
- 6
署名する人ごとに電子署名を用意する
電子証明書か、DJP の認証コード(Kode Otorisasi・無料)が必要です。どちらも個人のアカウントからだけ申請でき、会社のアカウントでは取れません。passphrase は8文字以上で、英大文字・英小文字・数字・記号を含めます。2段階認証も有効にしておくのがおすすめです。
| 番号 | 使い方 |
|---|---|
| 会社の NPWP | 16桁 |
| 居住者の個人 | 有効化した NIK(16桁)が NPWP になる |
| 支店などの事業所 | NPWP ではなく22桁の NITKU(2024年1月から)。源泉徴収票では相手先の NITKU が必須 |
駐在員の登録を後回しにしない
給与を受け取る人の NIK が Coretax で有効になっていないと、仮の NPWP(9990000000999000)で源泉徴収票を作る運用になります。仮の番号で作った票は本人のアカウントに届かず、本人の年次申告にも入りません。さらに月次の票(BPMP)が仮の番号のままだと、年間の票(BPA1)を作れず、取消・作り直し・修正申告が必要になります。日本から来る駐在員の登録は、最初の給与の前に済ませておくのが安全です。
毎月の流れ
- 1
Faktur(電子インボイス)を作ってアップロード
課税事業者(PKP)は Coretax で Faktur を作ります。アップロードと承認の期限は、作成日の翌月20日です(PER-11/PJ/2025。以前は15日)。Coretax で発行した Faktur は、買手の PPN の申告に仕入税額として自動で入ります。
- 2
源泉徴収票(Bupot)を作る
給与なら常用従業員の月次の票(BPMP)、それ以外の支払いは BP21、23条などは BPPU、国外への支払いは BP26 や BPNR を使います。どれも電子署名が必要です。年間の票(BPA1)は、最終月の終了後1か月以内に渡します。
- 3
納付コードを作って納める(翌月15日)
PPh 4(2)・15・21・22・23・25・26 などは翌月15日まで。PPN は翌月末まで、かつ PPN の申告の前に納めます。納付コード(kode billing)は7日で失効し、作ったものは削除できません。
- 4
申告する(PPh は翌月20日、PPN は翌月末)
PPh 21/26 と Unifikasi(23条など)の申告は、発行した源泉徴収票から記入され、翌月20日までに出します。PPN の申告は自動で作られ、翌月末までに出します。
期限は税務カレンダーに一覧にしています。
予納(Deposit Pajak)という仕組み
まだ特定の税に紐付けていない先払いの納付です。予納した日が納付日として扱われるので、遅れの制裁を防ぐのに使えます。納付が足りない申告を出すときは、「予納から充当する」か「納付コードを作る」のどちらか一方を選びます。
毎年の申告と、2026年10月からの修正申告
2025年分の法人の年次申告は、Coretax だけで提出しました(暦年決算なら期限は2026年4月30日)。初めての年で、期限後1か月以内に出せば遅延の制裁を免除する措置(KEP-71/PJ/2026)がありましたが、すでに終わっています。法定の期限そのものは変わっていません。事前に通知すれば最長2か月延長でき、納付が足りない場合は通知の前に納めます。
法人の年次申告の添付書類(減価償却の表など)は XML で取り込みます。テンプレートと変換ツールはよく更新されるので(直近は2026年4月8日)、毎年、最新のものを DJP のサイトから取り直してください。古いツールで作ると、検証で落ちることがあります。
修正申告は「置き換え」に戻りました
税務総局長規則 PER-12/PJ/2026 により、2026年10月1日から、Coretax の修正申告は「直した差分だけ」ではなく「最後に出した修正申告が正」という置き換えの扱いになりました。修正申告を出すと、確定申告の不足額(PPh 29)の分納・延納の承認は失効します。2025年1月以降の期間について、10月1日以降に出す修正申告から適用されます。
申告していない状態が残ると、納税者のステータス確認(KSWP)が有効にならず、行政の手続きに影響します。
私たちが XML の取り込みで実際につまずいたこと
私たちは、会計ソフト KAZENA Books が作る源泉徴収票を、人が打ち直さずに Coretax へ取り込めるようにする作業をしました。最初のファイルから、Coretax が「Disimpan」と返すまでに27回はねられています。2026年8月14日に BPA1、17日に BPMP、20日に BPPU が通りました。自社で XML を作る会社や、変換ツールで作ったファイルが通らない方の参考になるよう、落ちた理由を並べます。
| はねられた理由 | 直し方 |
|---|---|
| 相手先の税務番号が「存在しない」 | 番号は登録簿と照合されます。形(桁数・区切り)が正しくても、実在しない番号は通りません。試験にも本物の番号が必要でした |
| 税務番号が15桁で、点と横棒の区切り付き | 区切りを外した16桁で送る。画面に見せる形とファイルに書く形を分ける |
| 金額に小数(1,500,000.00)が付いていた | ルピアは整数で書く |
| 税率の書き方 | 仕様どおりの書き方にそろえる(パーセントか小数かを仕様で確かめる) |
| 対象の期間がずれていた | 支払った日の月をそのまま申告の期間に入れない |
| 取引先の名前の「&」 | XML の記号はエスケープする |
| 理由が書かれていない拒否 | 要素の並び順。仕様は順番まで決めている(4日かかりました) |
| 相手の番号が無い欄に「0」 | 「0」は番号ではない。別々の人が同じ1人にまとめられてしまう |
- 「Disimpan」は「保存」です。提出でも受理でもありません。そのあとに提出の操作と受理の確認があります。ここを「完了」と読むと、終わっていない手続きを終わったと思ってしまいます。
- 公式の見本 XML の中の数字は本物ではありません。仕様(XSD)から機械が作った見本で、形は正確ですが、値は欄を埋めるためのものです。任意の項目まで全部入っているので、そのまま真似ると、実際には受け付けられない項目まで出してしまいます。
- 様式ごとに必須の項目と並び順が少しずつ違います。1つ通ったから残りも通る、とは限りませんでした。
この経緯はブログにも書いています:「Disimpan」と出た日、私たちが作った番号は、誰のものでもなかった、公式サンプルの64,000,000は、誰も払っていない金額だった、「0」は、番号ではない。
Coretax についてよくある古い情報
| よく見る情報 | 2026年10月時点 |
|---|---|
| 申告は DJP Online、Faktur は e-Faktur Desktop | 2025年1月以降の期間は Coretax。Desktop での差替え・取消は2025年11月8日以降 Coretax に同期されない |
| 会社のパスワードでログインする | 責任者(PIC)の個人アカウントから会社として操作する |
| 会社のアカウントで電子証明書を取る | 電子証明書・認証コードは個人のアカウントからだけ |
| NPWP は15桁、支店は支店の NPWP | 会社は16桁、支店は22桁の NITKU、居住者の個人は NIK |
| Faktur のアップロードは翌月15日まで | 翌月20日まで(2025年5月22日から) |
| PPN の申告は翌月20日 | 翌月末(PMK 81/2024) |
| 修正申告は直した差分だけ出す | 2026年10月1日から置き換え(PER-12/PJ/2026) |
| 移行期の制裁免除がまだ使える | 2025年の免除(KEP-67/PJ/2025)も2026年の免除も終了済み |
困ったときの公式の相談先
- Kring Pajak(税務総局のコールセンター):(021) 1500200
- メール:informasi@pajak.go.id
- 最寄りの税務署(KPP)の窓口
- マニュアル:pajak.go.id の Coretax のページ
日本語で全体の流れを聞きたいときは、私たちの無料の日本語相談窓口もご利用ください。私たちの会計ソフト KAZENA Books は、Coretax に取り込める源泉徴収票の XML の書き出しに対応しています(日本語で会計を回す方法)。
このページの立場
KAZENA はソフトウェアの会社で、税務コンサルタント・公証人・弁護士ではありません。このページは公開されている法令・公式情報と、私たち自身がインドネシアで会社を運営してきた経験をもとにした一般的な情報です。個別の判断は、資格を持つ専門家にご確認ください。 Coretax の画面や手順は更新が続いています。操作の前に、DJP の最新の案内を確認してください。
よくある質問
Coretax とは何ですか?
インドネシア税務総局(DJP)が2025年1月から使っている税務のオンラインシステムです。申告、電子インボイス(e-Faktur)、源泉徴収票、納付コードの作成などを1つの入口で行います。根拠は財務大臣規則 PMK 81/2024 です。
会社のアカウントにはどうやってログインしますか?
会社用の共有パスワードはありません。会社が指定した責任者(PIC)が自分の個人アカウントでログインし、会社として操作(impersonate)します。担当者には PIC が「作成」「署名」の役割を付けます。
日本人の役員は PIC になれますか?
なれます。ただし先に本人を Coretax に登録しておく必要があります(居住者なら NPWP、非居住者ならアカウントの有効化)。
電子証明書は会社で1つ取ればよいですか?
いいえ。電子証明書や認証コードは、署名する人ごとに個人のアカウントから申請します。会社のアカウントからは申請できません。
e-Faktur Desktop はまだ使えますか?
2025年1月以降に課税事業者になった会社などは使えず、2025年11月8日以降は Desktop で行った差替え・取消が Coretax に同期されません。Desktop 自体が残っているかについては案内が食い違っているので、新しい実務は Coretax にまとめるのが安全です。
2026年10月から何が変わりましたか?
税務総局長規則 PER-12/PJ/2026 により、修正申告が「差分」から「置き換え」の扱いになりました。最後に出した修正申告が正となり、出すと確定申告の不足額の分納・延納の承認は失効します。
出典
- 財務大臣規則 2024年第81号(Coretax の税務規定)本文 PDF
- 財務大臣規則 2026年第1号(PMK 81/2024 の第4次改正)本文 PDF
- インドネシア税務総局(DJP):Coretax DJP(ログイン・マニュアル・相談先)
- DJP ガイド:法人の責任者(PIC)・impersonate・権限の追加(2025年1月)
- DJP 教育資料:Coretax のアカウント登録と電子証明書(2025年9月版)
- Kring Pajak(DJP の公式アカウント):外国人を PIC にする場合
- DJP FAQ:NITKU(事業所の番号)
- DJP:Coretax FAQ(納付コード・予納・自動作成など)
- DJP:XML テンプレートと Excel→XML 変換ツール
- DDTC:税務総局長規則 PER-11/PJ/2025(Coretax の申告・Faktur・源泉徴収票の技術規則)
- DDTC News:Faktur の差替えは e-Faktur Desktop ではできない(2026年1月)
- DJP:PER-12/PJ/2026 による修正申告の新しい扱い(2026年10月1日から)
- DDTC News:仮 NPWP で従業員の源泉徴収票を作った場合の影響(2025年9月)
- DDTC News:法人年次申告の遅延の制裁免除 KEP-71/PJ/2026(2026年5月)
制度は変わることがあります。手続きの前に、最新の公式情報と専門家の確認をお願いします。
