ジャカルタで働いていると、一日の終わりにポケットから紙が何枚も出てきます。コーヒーの店のものは感熱紙の細長い紙切れで、通りの向かいの飯屋のものはボールペンの手書きです。8月の終わりに、私はたまっていた紙を41枚、KAZENA Booksのカメラ機能で撮りました。読み取りは思っていたよりよく働いて、費用の仕訳が41件できました。そのうち17件に、税の行が付いていました。
問題は、その17件が何になったかです。ソフトは紙の上に税の行を見つけると、その金額を仕入税額の科目に入れていました。納める税から差し引ける金額として記録していた、ということです。合計で1,240,000ルピアありました。差し引ける科目に入っている以上、月次の集計では実際に差し引かれます。
インドネシアで仕入税額を差し引けるかどうかは、税を払ったかどうかでは決まりません。決めているのは書類のほうです。faktur pajakという、16桁の番号が付いた税の請求書があって、そこに買った側の番号が載っている。その書類があって初めて、差し引ける金額になります。レジから出てくる紙に税の行が印刷されていても、それはfaktur pajakではありません。41枚のうち、その番号が付いていたのは2枚でした。
残りの15件は、差し引けない税です。差し引けないというのは、無かったことになるという意味ではありません。その金額は費用の一部です。コーヒーと一緒に払った税は、コーヒーの値段の一部として費用に残ります。帳簿のどこに置くかが違うだけで、お金はどちらでも同じだけ出ていっています。
ここからが設計の話です。取りうる形は2つありました。ひとつは、読み取ったとおりに仕入税額として記録して、書類が足りないかもしれません、と警告を出す形。もうひとつは、faktur pajakの番号の無いものを、こちらの判断で最初から差し引けない扱いにする形です。前者は利用者に決めてもらう形で、後者はこちらが決めてしまう形です。
警告のほうを、私たちは最初いいと思っていました。決めつけないほうが丁寧に見えたからです。ただ、月に50枚、100枚と紙を入れる人の画面を想像すると、答えははっきりしました。毎回出る警告は、3日目には読まれません。押せば消えるものを安全装置と呼ぶのはやめよう、と決めました。
Vに聞きました。ジャカルタの会計士で、自分の事務所の実データでKAZENA Booksを試してくれている人です。彼女の事務所では、顧客が箱いっぱいの紙を持ってきたとき、最初にやるのは計算ではなく仕分けだそうです。faktur pajakのあるものと、無いものを2つの山に分ける。金額を足すのは、そのあとです。ソフトが引き受けるべきなのは足し算のほうではなく、この仕分けのほうだ、と彼女は言いました。
直した形を書きます。取り込むときに、その紙に16桁の番号があるかどうかで道を分けます。番号があれば、仕入税額として記録して、その番号を仕訳に一緒に保存します。番号が無ければ、税の行の金額は費用に含めます。そして仕訳の画面に、なぜそうしたのかを1行で書きます。あとから番号を入れれば、差し引ける側へ移せます。番号を入れるという操作が、そのまま控除の根拠になります。チェックボックスでは、そうはなりません。
もうひとつ足したものがあります。月次の集計に、数字を2つ並べました。差し引ける税と、払ったけれど差し引けない税です。8月の自分たちの支出で作ったテスト用の帳簿では、前者が18,600,000ルピア、後者が2,180,000ルピアでした。後者は、これまでどの画面にも出てこない数字でした。費用の中に溶けていたからです。
この数字を見せることには意味があると思っています。差し引けない税は、faktur pajakを出さない相手から買っている、ということの値段です。月に2,180,000ルピアだと分かれば、同じものを出せる相手から買う、という判断ができます。費用の中に溶けているあいだは、それは判断の材料になりません。数字にして初めて、選べるものになります。
この仕組みを、私たちは6週間ほど間違ったまま出していました。9月10日にここに書いたのは、AIの経路が日本以外の仕入税額控除を捨てていた、という話でした。今回は逆向きの間違いです。無いものを作っていました。捨てるほうは金額が減るので、見ている人が気づきます。作るほうは金額が増えるので、誰も文句を言いません。
国が変わっても、形は似ています。フィリピンでも、仕入税額を差し引くには、売り手の番号と税額が印字された正規の請求書か領収書が要ります。名前も様式も違いますが、考え方は同じです。税を払ったという事実ではなく、それを証する書類のほうが、差し引けるかどうかを決めています。私たちはこの分岐を国ごとの規則として書いて、帳簿の国によって、何を番号として求めるかを切り替えるようにしました。
念のため書いておきます。私は税理士ではありません。どの書類があれば控除できるのか、例外として認められる紙が何かは、制度の側で決まっていて、変わっていきます。ここに書いたのは制度の解説ではなく、自分たちのソフトが、書類の無い税を差し引ける税として記録していたという記録です。実際の取り扱いは、必ず専門家に確認してください。
お願いがあります。あなたの手元の紙が、KAZENAの画面でどちらの山に入ったか、一度見てみてください。間違った山に入っていたら、教えてください。紙の形は、国によっても店によっても違います。私たちが41枚で試したことは、あなたの箱の中では、まだ確かめられていません。
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