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「先月は儲かったのか」を、月に1回の引き算で確かめる

2026年10月18日 · Taro(KAZENA代表)

「先月は儲かりましたか」と聞かれて、すぐに答えられないことがあります。忙しかったかどうかは体が覚えているので答えられます。けれども、儲かったかどうかは別の話です。忙しかった月のほうが手元のお金が減っていることもあります。帳簿をつけたことがなくても、この問いに月に1回だけ答える方法はあります。今まで答えられなかったのは、確かめる機会が無かっただけです。

確かめるのは、月に1回で足ります。毎日やることではありません。毎日やるのは、お金が動いたときに1行書くことだけです。月に1回やるのは、その行を3つの山に分けて、引き算を1回することです。

やり方を書きます。先月入ってきたお金を全部足します。次に、売る物のために払ったお金を足します。そして、それ以外の払い、家賃・電気・通信・配達・給料・送金の手数料を足します。入ってきたお金から、後の2つを引きます。残ればその月は黒字で、足りなければ赤字です。ここまでで、会計の言葉は1つも使っていません。

売る物のための払いと、それ以外の払いを分けるのには理由があります。前のほうは、売れた量に合わせて増えたり減ったりします。後のほうは、売れても売れなくても同じ額が出ていきます。この2つが混ざっていると、売上が増えた月に何が起きているのかが読めません。分けておくと、あと何個売れば家賃の分を越えるのか、という問いに自分で答えられるようになります。

1つ、忘れやすい山があります。自分の取り分です。自分が店から受け取る分を費用に数えないと、紙の上では黒字なのに、自分の働きだけがタダになっている月ができます。その月を良い月だと思って同じやり方を続けると、疲れだけが積み上がります。

私も間違えていました。会社を始めたころ、売上が増えた月を良い月だと思っていました。実際には、売上が増えると、それに連れて出ていく払いも増えていました。月に1回の引き算をするようになるまで、どの月が本当に良かったのかを言えませんでした。1年分を並べてみたら、いちばん忙しかった月が、いちばん残っていない月でした。

1つだけ、気をつけることがあります。手元の現金が増えたことと、黒字であることは同じではありません。ツケで売った分はまだ現金になっていませんし、半年分まとめて払った家賃は現金が先に出ています。だから、財布の中身だけを見て良い月か悪い月かを決めると、順番のずれに引っかかります。この話は長くなるので、別の回に書きます。

赤字だった月のことも書いておきます。1か月の赤字は、商売をやめる理由にはなりません。見るのは、3つの山のどこが大きいかです。売る物のための払いが重いのか、それ以外の払いが積み上がっているのか。前のほうが重いなら、値段か仕入先の話です。後のほうが重いなら、毎月同じ額で出ていくものを数え直す話です。同じ赤字でも、次にやることが変わります。

黒字だった月も、黒字という1語で終わらせないほうがいいです。この引き算では、どの商品が残しているのかは分かりません。それでも、月ごとに並べていくと、良い月と悪い月の形が見えてきます。季節なのか、何かやり方を変えた月なのか。並べた数字が3か月分たまると、自分の商売の癖が見えます。

我々が作っている KAZENA Books は、この引き算を手でやらなくてよくするための道具です。レシートや請求書、銀行明細の CSV を入れると、AI が読み取って科目・金額・税額を提案し、使う人は確認して承認します。承認された行から、試算表・損益計算書・貸借対照表・総勘定元帳が自動で作られて、いつでも CSV か PDF で出せます。損益計算書と呼ばれている表が、まさにこの引き算の結果です。

ただし、道具があっても、ある払いが店のものだったかどうかを決めるのは人です。そして、書かれなかった行は、どんな道具でも作れません。紙と鉛筆でやっても、この引き算は同じ答えを出します。だから、道具を選ぶ前に、1回やってみるほうが早いです。

税のことにも触れておきます。私は税理士でも弁護士でもないので、申告や納税の判断は必ず専門家に確かめてください。その上で1つ言えるのは、申告の時期に聞かれる中身は、だいたいこの3つの山と同じだということです。月に1回やっておくと、その時期に1年分を思い出す作業が減ります。

今日やることを1つだけ書きます。今日が月の途中でも構いません。今月の初めから今日までで、入ってきたお金、売る物のために払ったお金、それ以外の払いを、3つの山に分けて、引き算を1回やってみてください。だいたい15分で終わります。答えが正確かどうかは、今日は気にしなくていいです。大事なのは、今まで答えが無かった問いに、自分の数字で答えが1つ出ることです。

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