店の引き出しや自分のポケットに今いくら入っているかは、たいていすぐ分かります。分からないのは、そのうちどれが店のお金なのか、ということです。今日の売上でお昼を食べ、自分の財布から配達の人にガソリン代を渡す。1日の終わりに残っているのは、混ざったお金の山が1つだけです。
この混ざり方そのものは、間違いではありません。小さな商売はたいてい自分のお金で始まるので、最初は財布が1つしかないのが自然です。困るのは、商売が続いて、答えたい問いが増えてきたときです。この商売は儲かっているのか。自分はこの商売から、いくら受け取れているのか。財布が1つのままだと、どちらにも答えが出ません。
帳簿が合わなくなる原因は、たいてい難しい取引ではありません。インドネシアの会計士の V が、自分の実際のデータで KAZENA Books を20回以上試してくれていて、そのやり取りで教わったのが、記録でいちばん手が止まるのは個人のお金と事業のお金が混ざっているところだ、ということでした。彼女はジャカルタで会計の仕事をしています。難しいのは計算ではなく、ある支払いがどちらのものだったかを後から決めることのほうです。
私も同じところでつまずきました。会社を始めたころ、会社のカードで自分の買い物をしたことがあります。1回や2回なら覚えていられると思っていました。実際には、3か月たつと、会社が私に返すべきお金なのか、私が会社に返すべきお金なのかが分からない支払いが残りました。金額は小さかったのですが、小さいから後回しにして、後回しにしたから思い出せなくなりました。
混ざり方には2つの向きがあります。店のお金で自分の生活の物を買う向きと、自分のお金で店の物を買う向きです。前の向きをそのままにすると、店の利益は実際より小さく見えます。後の向きをそのままにすると、店の費用が実際より小さく見えるので、思っているより儲かっているように見えます。どちらも数字が嘘をつきますが、嘘の向きが逆です。
分けるというのは、お金の置き場所を別にするという話で、それだけです。今日できることで言えば、店のお金を入れる場所を1か所決めて、今日入ってきたお金をそこに入れます。銀行の口座を今日すぐ開けないなら、封筒でも箱でも構いません。あとで口座に移せます。大事なのは、自分の財布とは別であることと、場所が1か所であることです。
置き場所を分けたら、次は自分が受け取る分の決め方です。必要になるたびに少しずつ抜くのをやめて、月に1回、決めた額を自分に渡す形にします。その額が正しいかどうかは、最初は分かりません。少なすぎたら次の月に上げればいいです。大事なのは、抜いたことが1行残ることです。そうすると、店の数字が自分の生活の都合で動かなくなります。
自分のお金で店の物を払ったときも、同じように1行です。日付、金額、何のため、そして自分が立て替えたということ。これは店があなたに返すべきお金なので、仕入先への未払いと同じように、どこかに置いておく必要があります。頭の中に置いておくと、たいてい返ってきません。自分が自分の店にいくら貸しているのかを、自分が知らないという状態になります。
分けると、答えられる問いが変わります。この店は、自分に給料を払えるだけ稼いでいるのか。今の値段は、仕入れと家賃と自分の取り分を足した額を超えているのか。混ざったままだと、どの数字にも自分の生活費が少しずつ混ざっているので、計算しても答えになりません。これは会計の知識の話ではなく、自分の商売を自分の目で見るための話です。
我々が作っている KAZENA Books は、分けたあとを楽にするための道具です。店の口座の明細を CSV で入れると、AI が読み取って科目・金額・税額を提案し、使う人は確認して承認します。請求書と、売掛・買掛も1つの場所で管理できるので、あなたが立て替えた分も、ほかの未払いと同じ場所に置いておけます。ただ、道具は分ける判断を代わりにしてくれません。1つの口座に生活費と仕入れが混ざって入っていれば、読み取った結果も混ざったままです。
分けておくと、最後の仕事も軽くなります。試算表・損益計算書・貸借対照表・総勘定元帳は自動で作られて、いつでも CSV か PDF で出せます。会計士に渡すときに手が止まるのは、この出力のほうではなく、どの支払いがどちらのものだったかを決める作業のほうです。そこは、払ったその日の本人しか知りません。
税のことにも少し触れます。私は税理士でも弁護士でもないので、申告や納税の判断は必ず専門家に確かめてください。その上で1つ言えるのは、事業の費用として説明するつもりの支払いは、事業のお金から出ているほうが説明しやすいということです。混ざった1つの口座から出した支払いについて、これは半分が事業ですと後から説明するのは、自分でも難しいです。
今日やることを1つだけ書きます。今日の仕事を終える前に、店のお金を入れる場所を1か所決めて、今日入ってきたお金をそこに移してください。そして、今日自分の財布から店のために払ったものがあれば、それを1行書いてください。明日からは、その場所のお金が動くたびに1行です。1週間続けると、自分の商売がいくらで回っているのかが、初めて自分の数字として見えてきます。
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KAZENAのアプリを使った感想、直してほしいところ、「こんな機能が欲しい」という提案——インドネシアやフィリピンの中小企業オーナーさん、フリーランスの方の声こそ、私たちが一番聞きたいものです。インドネシア語・英語のメッセージには、現地を知り尽くした仲間が応えます。また、KAZENA Booksはフィリピンとインドネシアでの展開がすでに決まっています。それ以外の国で一緒に展開してくださるパートナー企業様、システムのご購入をご検討の企業様も、お気軽にご連絡ください。新しいシステム開発のご相談もお受けしています。少人数のチームのため、すぐの着手をお約束できないこともありますが——日本品質(メイド・イン・ジャパン)のものづくりで、現地の商売に寄り添う開発を、一件ずつ丁寧に。
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