従業員の住所を入れる欄を作るために、9月18日の午後を使いました。その欄は、いま製品に入っていません。年次の様式には住所を入れる場所がそもそも定義されていない、と分かったのが、作りかけた後だったからです。
きっかけは、Vからの短い質問でした。彼女はジャカルタの会計士で、自分の事務所の実データでKAZENA Booksを20回以上試してくれています。年次の証明を作る画面で、従業員の住所はどこに入れるのか。上から下まで探したけれど入力欄が見つからない、と書いてありました。20回以上使っている人が見つけられないのだから、こちらの作り忘れだろうと私は考えました。
作り忘れではありませんでした。年次の様式、BPA1の定義を開くと、Alamat——住所——という要素がありません。任意の欄として用意されているのでもなく、列そのものが無いのです。我々が組み立てているXMLの中に、住所という値を置ける場所が1か所もありませんでした。
なぜ無いのかは、Vが説明してくれました。住所は、様式が運ぶ情報ではありません。納税者番号に紐づいて、役所の側が持っている情報です。証明に印字される住所は、こちらが送った文字列ではなく、管轄の税務署に登録されている住所です。変更も、その登録のほうを直します。つまり、ソフトの側で決められる値ではありませんでした。
それでも、午後の途中まで我々は欄を作り続けていました。理屈はこうです。使う人は住所を入れたいと言っている。様式に入れる場所が無いなら、こちらで持って、PDFの証明に印字すればいい。こう書くと、それなりに筋が通って見えます。
止めた理由を書きます。それをやると、印字される住所は我々が持っている住所になります。役所に登録されている住所とは、別のものです。書式も見た目も本物の証明と変わらず、違うのは、その1行がどこから来たかだけです。受け取った人は、役所に登録されている住所だと読みます。読み違えさせるのは、こちらの作りのほうです。
金額のように、合っているか間違っているかで片がつく値ではありません。多くの場合、我々が持っている住所も正しい住所です。問題は、正しいかどうかではなく、その紙が何の写しなのかが分からなくなることです。証明という書類は、役所が持っている記録の写しとして意味を持ちます。写しの中に、写しではない1行を混ぜてはいけませんでした。
決めたことは単純です。住所の欄は作りません。代わりに、無いことを画面がはっきり言うようにしました。住所はこの様式では運ばれません。印字されるのは税務署に登録されている住所です。変更は、その登録のほうで行います。この3つを従業員の画面に短く置いて、制度を最後に確認した日付も一緒に書いてあります。
書き方には、前の失敗があります。以前はこういう項目を灰色の入力欄にして、編集できません、と添えていました。灰色の欄は、故障しているか、自分の権限が足りないのだと読まれます。実際にVからも、自分の権限では見えない項目があるのか、という確認が一度来ていました。いまは欄そのものを置かず、1行の説明に置き換えています。編集できない、ではなく、ここでは決まらない、と書くようにしました。その値がどこで決まるのかを書けないなら、画面に出す意味がありません。
年次の証明を作る前の確認画面も直しました。以前は、埋まっていない項目が1つの一覧に並んでいました。いまは2か所に分けています。KAZENAで直せる項目と、KAZENAでは直せない項目です。後者には、どこで直すかを1行ずつ書きました。今回の住所は、後者の1項目目です。
ここから広げて言えることがあります。製品は、自分の責任の範囲を言えたほうがいい。これは我々の担当ではありません、と画面が言えないと、使う人はこちらの画面を探し続けます。Vが探していたのは、我々が作り忘れた欄ではなく、我々が言い忘れた1文でした。時間を使わせたのは、無い欄ではなく、無いと言わなかったことです。
9月26日で、7月30日から続いたジャカルタの滞在が終わりました。この2か月のあいだに何度か窓口に並びましたが、そのたびに、手続きの本体は台帳の側にあって、手元の紙はその写しなのだと感じました。窓口の人が見ているのは画面の中の記録で、私が持っている紙は、その記録がある時点でどうだったかを示すものです。住所の欄が無い理由を、あの並んでいる時間に教わっていたような気がします。帰ってからも、同じ画面を開いています。
念のため書いておきます。私は税理士ではありません。年次の様式に何が含まれるか、住所の登録をどこでどう行うかは制度の側で決まっていて、変わっていきます。ここに書いたのは、我々が画面の作りを間違えたという記録です。実際の手続きは、必ず専門家に確認していただくようお願いします。
最後にお願いがあります。KAZENAの画面に、変更できないのに理由の書かれていない項目があれば、教えてください。そこは、こちらがまだ言葉にできていない場所です。
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