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作り直せる映像と、作り直すしかない映像

2026年10月30日 · Taro(KAZENA代表)

デザインも動画編集もできないまま、何から始めればいいのか分からない。小さな商売をしていると、たいていここで止まります。それで、できる人に頼むことになります。返ってくるのは、たいてい1つの完成したファイルです。そのときには誰も言わないことが1つあって、それは、あとで少しだけ違う形が必要になったときに何が起きるか、です。

私たちはこれを、自分たちの作例で学びました。KAZENA Motion のページには15秒の作例が11本並んでいます。そのうち10本は動画のファイルではなく、ページのコードから、見ている人のブラウザの中で描かれています。残りの1本だけが本物の映像です。自社のオリジナルアニメ「NINJA-極-」の告知映像を15秒に編集して入れました。ページの業種の欄には「オリジナルアニメ · 告知映像」と書いてあります。

並べてみて最初に困ったのは、時計でした。作例は順に流れていくので、全体で1つの時計を持っています。コードで描く10本は、何秒目かを受け取るとその瞬間の絵を返す関数ですから、時計を渡せばそのとおりに描けます。ところが本物の映像は、自分の時計を持っています。いったん再生を始めると、こちらの時計とは関係なく進んでいきます。

そこで、映像をこちらの時計に従わせました。時計が進んでいる間だけ再生し、時計が止まれば映像も止まります。手で止めたとき、画面の外に出たとき、タブを離れたときも止まります。そして2つの時計が0.6秒より大きくずれたときだけ、映像のほうを時計の位置へ動かします。小さなずれは直しません。毎回直しにいくと、映像が小刻みに震えて、かえって見苦しくなるからです。

読み込みも遅らせました。この映像は、必要になるまで読み込みません。それまでは、映像の中の1コマ、題字が出る14.7秒のところを静止画として置いてあります。音も外してあります。ショーリールは既定では音が鳴らない作りなので、1本だけが勝手に鳴っては困るからです。

ここまでは、私たちが気にすればいい細かい話です。頼む側にとって大事だったのは、次のほうでした。スマホで見る場所には縦長(9:16)が必要なので、コードで描く10本については、縦のために並べ方を作り直しました。けれども本物の映像には、並べ方というものがありません。あるのは絵だけです。最初に作った縦長のファイルは、横長の映像の真ん中を切り抜いたものでした。幅の3分の1ほどしか映っておらず、人物が半分で切れ、題字は枠の外にはみ出していました。自分で開いてみて、これは大きすぎると思いました。

直し方は、並べ方を変えることではありませんでした。ファイルを作り直すしかありませんでした。横長の元のファイルから作り直し、場面を縮めて幅の78%ほどが見えるようにして、枠の中央に置きました。上下に空いたところには、同じ映像をぼかして暗くしたものを敷いています。真っ黒の帯よりは、画面として収まりがよくなります。静止画の1コマも、同じ場面で撮り直しました。

これができたのは、横長の元のファイルが手元に残っていたからです。もし納品された縦長のファイルしか持っていなかったら、戻る先がありません。できあがった映像は、短く切ることと小さくすることはできますが、並べ直すことはできません。中に何が写っているかは、もう決まっているからです。

これが、10本と1本の違いです。そして、私たちが映像をコードで描いている理由でもあります。コードで描いてあれば、文字を1行だけ直したいとき、枠が細いときの並べ方を足したいとき、来年に価格の表示を変えたいときに、作り直しから始めなくて済みます。だから現行のプランでは、形ごとの動画のファイルと一緒に、元のファイル一式(HTML・CSS・JavaScript と短い説明書)をお渡しします。価格や文字を1行だけ差し替えるような簡単な変更は、それで足ります。構成を変えるような大きな変更には、新しい制作が必要になることもあります。

正直に書いておくと、これで何でも直せるようになるわけではありません。私たちの作例の1本は本物の映像で、本物の映像は、私たちにとっても作り直すしかない種類のものでした。だから、撮ったり描いたりした映像そのものが要る仕事では、守るべきものは完成したファイルではなく、元の素材のほうです。

そういうわけで、お渡しするものの中には、使ったフォントと音源の一覧(ライセンスと出所つき)と、行った検査と分かっている制約の短いメモも入れています。どれも、半年後に別の人がそのファイルを開いたときに困らないためのものです。映像を頼むというのは、見栄えのよい15秒を受け取ることだけではなく、そのあと何年か、それを少しずつ直していける状態を受け取ることだと思っています。

今日ひとつだけやれることがあるとすれば、これまでに誰かに作ってもらったもの、ロゴでも商品の写真でも動画でも、その元の素材が自分の手元にあるかを確かめることです。無ければ、作った相手に聞けば、たいてい残っています。KAZENA Motion はまだ注文を受けていません。受付を始めたときに知らせてほしい方は、ページから頼めます。

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