源泉徴収は、その支払にかかる税ではありません。その暦年ぶんの税を、途中まで前払いしているだけです。頭では分かっているつもりでしたが、私たちのコードはそう書かれていませんでした。1回の支払を、それだけで完結する計算として扱っていたのです。その結果、同じ人に2回払うと、2回目の天引きが足りなくなります。
見つけたのはVです。ジャカルタで実データを使ってKAZENA Booksを試してくれている会計士で、これまで20回以上、実際のCoretaxに向けて書類を作っては、通らなかった場所を送り返してくれています。彼女から届いたのは短い1行でした。2回目の源泉が、1回目とまったく同じ金額になっています、と。
数字を書きます。従業員ではない個人への報酬で、同じ相手に150,000,000ルピアを2月と8月の2回。この区分では課税対象額が総額の半分なので、1回あたり75,000,000ルピアです。税率はPasal 17の累進で、60,000,000ルピアまでが5%、そこから250,000,000ルピアまでが15%。
正しい計算は累計です。1回目は累計75,000,000ルピアに対する税で、5,250,000ルピア。2回目は累計150,000,000ルピアに対する税16,500,000ルピアから、すでに天引きした5,250,000ルピアを引いて、11,250,000ルピア。ところが私たちのソフトは、2回目にも5,250,000ルピアと出していました。差は6,000,000ルピアです。
何が起きているかというと、5%の枠を2回使っています。60,000,000ルピアの枠は、その人につき、その暦年に一度しかありません。支払ごとに独立して計算すると、いちばん低い税率の枠が、支払の回数だけ配られてしまう。回数が多いほど、足りない額は大きくなります。
不足分は誰が払うか。源泉徴収は支払う側の義務なので、足りなければ、あとから支払者が納めることになります。加算も付きます。受け取った側の手取りは多かったわけですが、その差額を何か月も経ってから請求するのは、実務としてほとんど不可能です。つまりこれは、表示のずれではなく、お金が出ていくバグでした。
どうして私たちのテストを通ったのか。テストデータでは、一人につき支払が1回しかありませんでした。履歴を増やすより人数を増やすほうが作りやすいので、一人に1回ずつ払う形でデータを組んでいたのです。同じ人に2回払うという、実務ではごく当たり前のことが、私たちのデータには一度も入っていませんでした。
根っこにあったのは、計算の単位の取り違えです。私たちは「支払」を単位にしていました。法律が見ている単位は「人 × 暦年」です。この2つがずれていると、1回の支払だけを見ているかぎり、どの数字も正しく見えます。単体では正しく、合わせると間違っている。いちばん見つけにくい形です。
直しはじめて、次の問いが出ました。その暦年に入るかどうかを、何の日付で決めるのか。記帳した日ではなく、支払った日です。それから、日付が変わる境目は誰の時計で決めるのか。サーバの時刻で読むと、ジャカルタの1月1日の朝に払ったものが、前年の12月31日に落ちます。年をまたぐ1回の支払で、累計の起点そのものがずれる。ここは各国の現地時間で判定するように直しました。
すでに出した書類の扱いも決める必要がありました。累計で計算し直すと、以前に発行した源泉徴収票の金額と合わなくなることがあります。黙って書き換えるのは、いちばんやってはいけないことだと考えました。いまは、すでに天引きした合計と、本来あるべき合計と、その差額を並べて出します。どう直すかを決めるのは、ソフトではなく人です。
それから、私たちの累計には限界があります。あくまでKAZENAに記録された支払だけの累計です。同じ人が他社からも報酬を受け取っていれば、本当の年間累計はもっと大きい。ソフトが黙っていると、画面に出ている数字が全部だと読まれます。いまは累計の横に、この数字に何が含まれていないのかを1行で書いています。
画面も変えました。以前は天引き後の金額だけが出ていました。いまは、今回の課税対象額、今年これまでの累計、その累計にかかる税、すでに天引きした額、そして今回の天引き額を、順番に出します。以前より少しうるさい画面になりましたが、Vが検算できない数字は、私たちにも検算できません。
念のため書いておきます。私は税理士ではありません。ここに書いた税率も区分も、私たちが実装しているかぎりでの理解であって、最終的な判断は必ず専門家に確認してください。私たちにできるのは、計算の途中を全部見えるようにしておくことだけです。もしお使いのソフトが、同じ人への2回目の支払で1回目と同じ天引き額を出したら、一度だけ手で確かめてみてください。
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