1枚のレシートを手で打ち込むと、40秒でした。同じレシートを写真から読み取らせて、出てきた内容を確かめてから保存すると、1分20秒でした。8月の終わりに、自分の手元で20枚を計って出た数字です。入力を楽にするために作った機能が、そのときは、かかる時間をちょうど2倍にしていました。
原因は読み取りの精度ではありません。画面の言葉でした。読み取りが終わると、入力欄の上に1行の帯が出ます。この内容はAIが推定したものです、保存する前に確認してください。私たちは、正直に書いたつもりでいました。
その帯の下に並んでいる欄のうち、合計金額、日付、通貨、店の名前は、写真に写っている文字をそのまま写したものです。読めたか読めなかったかのどちらかで、間の状態はありません。読めた場合、そこに入っている数字は、紙に書いてある数字です。
一方で、同じ画面には、写真のどこにも書かれていない値も入っていました。勘定科目です。取引先の欄に入る、登録済みの取引先との一致です。仕入税額の扱いです。どれも、こちらの側で選んだものです。ところが、これらの欄には何の印も付いていませんでした。帯は画面の上に1本あるだけで、値のところには何も書かれていません。
つまり、私たちが推定と書いていたのは、確かなところでした。本当に推し量っていたところには、何も書いていませんでした。1つの言葉を全部に掛けると、どこが危ないのかを何も言わないのと同じになります。Vからの報告は、この形でした。全部が推定なら、全部を確かめないといけません、と。彼女はジャカルタの会計士で、自分の事務所の実データでKAZENA Booksを試してくれています。
実際に起きたことを書きます。手書きのレシートを読み取ったときに、店の名前が、登録済みの取引先のうち綴りのいちばん近いものに一致させられました。文字は正しく読めています。一致のさせ方だけが違っていました。画面にはその取引先の名前が入っていて、その名前がどこから来たのかは書かれていません。気づいたのは3週間後で、その取引先の月の合計が実際より大きく見えたからです。間違っていたのは1か所、金額は小さく、まだ何も提出していない段階でした。直しましたが、気づいたのは私たちではありません。
なぜこうなったのかを書きます。帯は、画面を作るときに一度だけ書いた文でした。値を作るのは別の場所です。読み取りの結果を組み立てる部分と、足りない欄を埋める部分は、別々に書かれていて、どちらも、自分が何をしたかを画面に伝える口を持っていませんでした。確からしさは、値と一緒に運ばれていなければ、値のところには届きません。
直した形を書きます。欄ごとに3つの状態を持たせました。1つ目は、紙から読み取った値です。押すと、写真の該当する場所を囲んで見せます。2つ目は、こちらが補った値です。何を根拠に補ったのかを、その欄の下に短く書きます。3つ目は、読めなかった欄です。
3つ目をどう扱うかで、いちばん迷いました。以前は、読めなかった欄にも、それらしい値を入れていました。空欄で返すと、機能が弱く見えるからです。いまは空欄のまま返して、何が読めなかったのかを書きます。日付が読めませんでした、と。変えたあと、空欄で返る欄の割合は2%から9%に増えました。増えたほうが正しい数字です。以前の2%のうちのいくらかは、こちらが作った値でした。
補った値のほうも直しました。取引先の一致は、登録済みの取引先「Toko A」に一致させました、と名前を出して書きます。一致の確からしさを点数で出すことも考えましたが、やめました。0.82という数字を見せられても、使う人が次にする行動は変わりません。名前が出ていれば、違うと分かる人にはその場で分かります。取り消しは、欄の横の1回の操作で戻せるようにしました。
言葉も入れ替えました。AIという語を、欄の説明から全部外しました。使う人にとって大事なのは、その値がうちのソフトのどの部分から来たかではなく、自分の紙から来たのか、こちらが決めたのか、です。推定という語は、こちらが決めた欄にだけ残しました。
計り直しました。1枚あたり、読み取らせてから保存するまでが35秒です。手で打つより短くなったのは、確かめるべき欄が減ったからで、読み取りの精度そのものは変えていません。配信の前には、仲間のEが自分の端末で写真を撮って試します。彼はジャカルタから少し離れた町にいて、夕方の暗い店先で撮った写真では、読めない欄がもっと増えます。読めませんでしたと正直に出る画面のほうが、そういう場所では役に立ちます。
念のため書いておきます。私は税理士ではありません。勘定科目の選び方も、仕入税額の扱いも、証憑として何が認められるかも、制度の側で決まっていて、変わっていきます。ここに書いたのは、私たちが自分の画面の言葉を直した記録です。実際の判断は、必ず専門家に確認していただくようお願いします。
最後にお願いがあります。KAZENAの画面で、入っていた値が自分の書類から来たものなのか、こちらが入れたものなのか分からなかったことがあれば、教えてください。読み間違いは、いつか必ず起きます。それより困るのは、どこを見ればいいのか分からないまま、全部を見直すことです。それは、こちらが書いていないせいです。
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