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読めた5行を畳んだら、消えたことになっていた

2026年9月11日 · Taro(KAZENA代表)

画面には1行だけ並んでいました。読み込ませたファイルには6行あります。残りの5行はどこへ行ったのか、という質問が届きました。送ってきたのはEです。創業のころから一緒にやっているインドネシア人の仲間で、画面の作りと実機でのテストを見てくれています。彼が住んでいるのはジャカルタではなく、ここから少し離れた町です。

先に答えを書きます。6行は全部読めていました。捨てられた行はひとつもありません。取り込みのプレビューが、確認の必要な行だけを並べる作りになっていて、きれいに読めた5行は、表の下に小さく畳まれていました。他に5行、と書いてありました。

なぜそう作ったのかを書きます。想定していたのは、会計ソフトから書き出した大きなファイルです。テストに使っていたのは214行のファイルで、そのうち確認の必要な行が3行でした。214行を全部並べてしまうと、直すべき3行は埋もれます。問題のある行だけを上に出す画面は、そのファイルではよく働きました。6行のファイルで試したことは、一度もありませんでした。

畳まれた1行が、どこにあったかも書いておきます。表の下、取り込みボタンのさらに下でした。文字は小さく、色は灰色です。Eの端末では、その1行は画面の外にあって、指で送らないと出てきません。彼が見ていた画面は、1行だけの表と、取り込むボタンでした。

そのあとに彼がしたことを書きます。まず3回入れ直しました。同じ画面が出ます。次に、ファイルを1行ずつに分けました。6つのファイルを作って、6回取り込んで、どの行が落ちるのかを探しています。全部通りました。ここまでで20分ほどかかっています。そのあいだ彼が探していた不具合は、最初から存在していませんでした。

人は、見えないものを無いと読みます。当たり前のことですが、私たちは画面を作るときにこれを忘れました。問題のある行だけを見せる画面は、残りが正しく読めたという証拠を、同時に消しています。親切のつもりで畳んだところに、利用者がいちばん先に知りたい事実が入っていました。何行読めたのか、という事実です。

もっとよくないことがあります。この画面では、正しく読めた行と、まったく読めなかった行が、同じ見た目になります。どちらも表には出てきません。つまり、本当に行が落ちたときにも、画面は今日と同じ顔をします。壊れていないのに壊れて見える画面は、壊れているときにも同じように見えます。どちらの向きにも使えない画面を、私たちは確認画面と呼んでいました。

直した形を書きます。読めた行は全部並べます。並び順はファイルのままにして、行番号も一緒に出します。確認の必要な行には印を付けて、上にまとめる並べ替えも残しましたが、それだけを表示する状態は無くしました。そして表の上に、文で書きます。ファイルの6行を読みました。うち1行に確認が必要です。このまま取り込むと6件の仕訳ができます。

数を出すこと自体を、機能として作り直しました。必ず3つの数を出します。ファイルにあった行の数、読めた行の数、これから作られる仕訳の数です。3つがそろわないときは、どこで減ったのかを書きます。以前は、表に何行並んでいるかで数を察してもらう作りでした。察してもらう数は、数えたことになりません。

テストも足しました。1行、2行、6行、214行のファイルを取り込んで、読めた行が全部画面に出ていることを確かめます。それまでのテストは、大きいファイルばかりでした。実際に届くファイルは小さいほうが多くて、手元の帳簿から4行だけ書き出して試す人がいちばんよくいます。テストのデータが、使う人のデータと違っていました。

報告の扱いも変えました。以前は、こういう報告が来ると、動いているかどうかを確かめて、動いています、と返して終わりにしていました。壊れていないのだから直すところはない、という判断です。いまは、不具合として記録します。動いているのに壊れて見えるなら、直すところは動きの側ではなく画面の側にあります。Eの20分は、彼の勘違いが使った時間ではありません。こちらの作りが使わせた時間です。

お願いがあります。KAZENAの画面で、行が消えたように見えた、数が合わないように見えた、という方は教えてください。実際に消えているかどうかは、こちらで数えます。使う人に数えさせているうちは、こちらが数えていないのと同じです。

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