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私たちが使っていたのは、彼女の時間だった

2026年9月7日 · Taro(KAZENA代表)

彼女がKAZENA Booksを試してくれた回数を、8月の終わりに数えました。22回でした。数えたのは、こちらが受け取った報告の数ではありません。自分たちの仕事を人の手に渡した回数のほうです。22回のうち14回は、こちらで何も用意せずに、試してみてくださいとだけ書いて送ったものでした。

Vはジャカルタの会計士です。自分の事務所の実データで、私たちの帳簿を試してくれています。契約はありません。請求書も来ません。いまのところ、彼女に払っているものは何もありません。それでも報告は毎回届きます。画面のどこで手が止まったか、どの言葉が現場の言い方と違うか、この順番では実際の1か月が回らない、というところまで書いてあります。

数えるきっかけになったのは、8月19日の夜です。その日の夕方に送った版が、最初の画面で止まりました。ログインの先に進めません。彼女は自分の仕事のあとに時間をあけてくれていて、その時間で分かったのは、入れないということだけでした。返ってきたのは1行です。今日は入れませんでした、と。原因はこちらの配信の設定で、送る前に自分で一度開いていれば分かることでした。

そのあとで、それまでの頼み方を見直しました。版を作って、送って、試してくださいと書く。これは、こちらが楽をする頼み方です。何を試すかを決めるのも、気づいたことを書き留めるのも、それをこちらに伝わる言葉に直すのも、全部あちらの仕事になります。こちらがしたのは、送ることだけでした。

7月と8月に彼女から届いた報告は47件でした。そのうち9件は、こちらの機械が先に見つけられたものです。翻訳の文字列が1か所抜けている、桁の区切りが画面によって違う、印刷の1枚目に余白が出る。どれも人でなければ見つからないものではありません。機械が出せる報告を人に出させていた分だけ、人にしか出せない報告の時間を削っていたことになります。

彼女にしか出せない報告というのは、こういうものです。空欄のところに0を置く事務所がある。書類の頭の体裁が整っていないと、受け取ってもらえないことがある。源泉徴収の控えを月ごとにまとめる人もいれば、支払のたびに出す人もいる。どれも条文には書いていません。画面の向こうでいくら考えても、一生出てこない種類の情報です。

返せるものを考えました。1つ目は、報告のその後を伝えることです。以前は、届いた報告をこちらの一覧に入れて、彼女から見える話はそこで終わっていました。直したのか、直さないと決めたのかは、こちらの中にしか残りません。いまは、受け取ってから1営業日のうちに、直す・直さない・こう直すつもりだ、のどれかを返します。新しい版を送るときには、どの報告が入っているかを書きます。

2つ目は、送る前にこちらが開くことです。新しく作った口座で、登録から最初の請求書を出すまでを一通り通します。10分ほどの手順です。8月19日に起きたことは、この10分で止められました。人の夜の時間を使う前に、自分の昼の時間を10分使う。順番が逆になっていました。

配信の前には、仲間のEも自分の端末で確かめます。彼はジャカルタから少し離れた町にいて、そこの回線と、そこで実際に使われている機種で触ってくれます。ジャカルタの事務所の回線で問題がないことと、彼の町の電波で問題がないことは、別の話です。彼のところで止まる版は、Vには送りません。

3つ目は、1回あたりの手間を小さくすることです。いまは、見てほしいことを3つだけ書いて送ります。どこで止めていいかも書きます。ここまでで結構ですと先に書いておかないと、律儀な人は最後まで見てしまいます。使う口座もこちらで用意して、彼女の事務所に近い形のデータを入れておきます。目安は30分です。夕方の時間をまるごともらうのではなく、30分をもらう。

お金のことも書いておきます。時間の分を払わせてほしいと伝えましたが、彼女は受け取りませんでした。自分の仕事で使えるものになってほしいから、というのが理由です。断られたことを、こちらが甘えてよい理由にはしないと決めました。頼むのは週に1回までにして、締切の近い週には頼みません。会計事務所の月末に、こちらの都合で手を伸ばさない。当たり前のことですが、決めておかないと、こちらの都合はいつでも先に来ます。

返せていないものもあります。彼女が使っているのは実データです。試すという行為に、事務所の記録を傷つける可能性が乗っています。一度、まとめて取り込む機能を、彼女の本番の帳簿で試してもらったことがありました。あれは、あの形で頼んでいい頼みではありませんでした。いまは写しの環境を用意して、消える方向の操作は本番では試してもらいません。

念のため書いておきます。私は税理士ではありません。この記事に出てくる書類や締切の話は、私が現場で教わった範囲のもので、制度も様式も変わっていきます。実際の判断は、必ず専門家に確認していただくようお願いします。

最後にお願いがあります。KAZENAの何かを試してくださった方に、聞きたいことがあります。あのとき、何に時間を取られましたか。動かなかった画面のことでも、こちらの説明が足りなかったことでも構いません。試してもらうというのは、こちらが持つべき費用を人に持ってもらうことです。持ってもらった分は、せめて数えておきたいと思っています。

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KAZENAのアプリを使った感想、直してほしいところ、「こんな機能が欲しい」という提案——インドネシアやフィリピンの中小企業オーナーさん、フリーランスの方の声こそ、私たちが一番聞きたいものです。インドネシア語・英語のメッセージには、現地を知り尽くした仲間が応えます。また、KAZENA Booksはフィリピンとインドネシアでの展開がすでに決まっています。それ以外の国で一緒に展開してくださるパートナー企業様、システムのご購入をご検討の企業様も、お気軽にご連絡ください。新しいシステム開発のご相談もお受けしています。少人数のチームのため、すぐの着手をお約束できないこともありますが——日本品質(メイド・イン・ジャパン)のものづくりで、現地の商売に寄り添う開発を、一件ずつ丁寧に。

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