私たちは、伝票を保存するときに、勘定科目の名前を文字として一緒に書き込んでいました。番号だけでなく、そのとき画面に出ていた名前も、そのまま残していたのです。そうした理由はあとで書きます。先に結果だけ書くと、この作りのせいで、同じひとつの科目が、決算の表に2行になって並びました。
見つけたのはVです。ジャカルタで自分の実データを使ってKAZENA Booksを試してくれている会計士で、これまで20回以上、実務の中でぶつかったことを送り返してくれています。届いたのは、短い質問と、表を切り取った画像でした。6220という同じ番号が、違う名前で上下に2行。上は4,120,000ルピア、下は1,860,000ルピア。彼女が知りたかったのは、どちらが本当の交通費なのか、それだけです。
正しくは1行で、合計5,980,000ルピアです。私たちの表は、名前でまとめていました。人が読むのは名前だからです。名前が2つあれば、まとまりも2つになる。番号はどちらの行も同じで、割れていたのは集計だけでした。
2つ目の名前はどこから来たのか。3月に、彼女はこの科目の名前を、自分の事務所の言い方に直しています。科目の一覧では、名前は1つに変わりました。ところが、それより前に記帳した伝票には、古い名前が文字として焼き付いたままです。表は伝票側の文字を読んでいたので、改名の前と後で、2つの名前がそのまま生き残っていました。
同じ間違いに至る経路が、もうひとつあります。言語です。KAZENA Booksは6言語で動きます。彼女はインドネシア語で記帳して、月末の確認は英語の画面でしています。名前を焼き付けていると、英語の画面にも、記帳したときのインドネシア語の名前が並びます。これは翻訳が足りないという話ではありません。翻訳の結果のほうを、翻訳される前のものとして保存してしまっていた、という話です。
数えました。彼女の帳簿は8か月で1,240件。そのうち214件が、いまの科目一覧に存在しない名前を持っていました。関係する科目は6つ。決算の表で2行に割れていたのは、そのうち2科目だけです。残りの4科目は、たまたま改名の前か後の片方にしか伝票が無かったので、1行のままでした。1行のままだったほうが安全だったわけではありません。その行は、古い名前を、正しい顔で載せていただけです。
弁解ではなく、当時の理由を書きます。私は、帳簿は当時の記録であるべきだと考えていました。あとから科目の名前を変えたときに、去年の帳簿の見た目まで変わってしまうのは、記録として不誠実ではないか、と。もうひとつ、正直に言えば、1行描くたびに科目の一覧を引き当てる手間を省きたかった。文字が伝票に入っていれば、そのまま出せます。
間違っていたのは、どこが事実かの見極めでした。その伝票について動かせない事実は、6220という番号のほうです。名前は、その番号に人が付けている札にすぎません。札は付け替えられるし、読む人の言語で変わります。私が保存していたのは事実ではなく、ある日ある画面での見え方でした。見え方を保存してしまうと、あとから見え方を変えられなくなります。
直しはじめると、別の症状も出てきました。科目の名前で伝票を絞り込む検索が、古い名前を持つ20件を拾えていませんでした。使う人の側から見れば、その20件は存在しません。書き出したCSVにも両方の名前が並んでいたので、それを表計算で集計した人は、割れたままの数字を持ち帰っていたことになります。
直し方そのものは単純でした。伝票が持つのは番号だけにして、名前は表示するその瞬間に、いま有効な科目一覧から、読む人の言語で引きます。移行では、214件から古い文字を外しました。外す前に、1,240件すべてについて、焼き付いていた名前と、番号から引いた名前を突き合わせています。6件だけ、名前と番号が食い違っていました。これは表示の問題ではありません。その6件は、そもそも違う科目に記帳されていたのです。一覧を渡して、いま彼女に確かめてもらっています。
ただし、何でも引き直せばよいわけではありません。取引の相手の名称や、そのとき適用した税率は、あとで世の中が変わっても、当時のものが残っていなければ困ります。線は、事実か、見せ方か、で引けます。相手の名前は、その取引に付いている事実です。科目の名前は、いまの一覧に付いている札です。私たちは、この2つを同じ引き出しに入れていました。
念のため書いておきます。私は税理士ではありません。ここで割れていたのは決算の表の集計で、その表は申告の元になります。科目が2行に割れても年の合計は変わりませんが、区分ごとの金額は変わります。最終的な確認は、必ず専門家にお願いしてください。
いまは、文字列を保存しようとするたびに、自分に一度だけ聞くようにしています。これは事実か、それとも、いまの画面の見え方か。もしお使いのソフトで、同じ科目が2つの名前で並んでいるのを見かけたことがあれば、教えてください。その表は、たぶん名前でまとめています。
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