KAZENA Booksの会社設定に、付加価値税の登録をしているかどうかを持つ項目が1つあります。はいか、いいえ。2つしかありません。フィリピンで帳簿を付ける人のことを調べていて、この項目では答えが出ないと分かりました。足りないのは選択肢の数ではありません。この項目が、答えは売上の大きさで決まるという前提のうえに作ってあることのほうです。
先に書いておくと、まだフィリピン版を出していません。展開すること自体は決まっていて、いまは制度を読んでいる段階です。この記事は、作ったものの話ではなく、作る前に分かったことの話になります。9月に入ってから、公開されている様式と規則を読み直して、インドネシアで作った仕組みのどこがそのまま動いて、どこが動かないのかを1つずつ確かめました。
インドネシアでは、請求書に付加価値税を乗せてよいのはPKPとして登録した事業者だけです。年間の売上が48億ルピアを超えると登録することになり、それ以下なら任意です。私たちの項目は、この形に合わせて作ってあります。売上という数字があって、線が1本引いてあって、線の上か下かで答えが決まる。線の位置は変わりますが、決め方の形は変わりません。
フィリピンにも、よく似た線があります。年間の売上が3,000,000ペソを超えると付加価値税の登録が必要になり、それ以下なら登録しないという道があります。ここまでは、名前が違うだけの同じ話に見えました。数字を入れ替えれば動く、と思っていたのは、この段階です。
違ったのは、線の下でした。フィリピンでは、個人で事業をしている人や専門職の人が、線の下にいるときに8%という選び方をできます。売上から250,000ペソを引いた額に8%をかける。段階的な所得税の税率と、売上にかかるパーセンテージ税の代わりに、これ1本で済ませる選び方です。選ばない道もあります。つまり、売上が同じで、商売の中身も同じで、どちらも線の下にいる二人が、別々の制度の中にいることがあり得ます。決めているのは数字ではなく、その人が選んだかどうかです。
違いはもう1つあって、それは時間の形でした。この選び方は、その年について選ぶものです。年の途中で気が変わったから今日から変える、という性質のものではありません。私たちの設定は、いまどうなっているかだけを持っています。いつからそうなのか、去年はどうだったのかを、どこにも書けません。去年の帳簿を開いても、いまの設定で計算した数字が出ます。インドネシアだけを見ているうちは、これで困っていませんでした。
ここで、考え方を変えました。フィリピンでは、登録をすると税務当局から登録証が渡されます。Form 2303と呼ばれる紙です。そこには、その人がどの税について登録しているのかが並んでいます。付加価値税なのかパーセンテージ税なのか、源泉徴収をする義務があるのか。私たちが売上から推測しようとしていた答えは、使う人の手元にすでに紙で存在していました。推測する必要が、そもそもありません。
同じ目で、インドネシア側も見直すことになりました。私たちは登録の有無を売上から自動で判定してはいません。利用者が設定した1つの印を読んでいるだけです。ただ、その印を最初に決める画面には、基準の金額しか書いていません。売上がいくらを超えたら、という書き方です。本当に見てもらうべきなのは、登録の証書が手元にあるかどうかでした。書いてあることを写してもらうのと、条件を読んで自分で判断してもらうのは、同じ項目に見えて、間違え方が違います。
書類の名前でも、同じことが起きました。フィリピンには長いあいだ、物を売ったときの請求書と、役務の代金を受け取ったときの公式な領収書という、2種類の使い分けがありました。2024年の法改正で、役務についても請求書のほうが主たる書類になり、領収書は補助的な位置づけに変わっています。私たちの画面は、請求書と領収書を別々のものとして持っています。どちらの言葉が、どの場面で、いつから正しいのか。正しさは国だけでなく、年でも変わりました。
そのまま届くところも書いておきます。支払う側が税を差し引いて、差し引いた証明を受け取る側に渡す。この形はフィリピンにもあって、渡す紙はForm 2307と呼ばれています。受け取った側は、それを自分の申告で差し引きます。インドネシアで作った控えの仕組みは、考え方としてはここに届きます。届かないのは、様式の名前と、対象になる期間の区切り方と、端数の丸め方です。私たちは、この機能のフォルダにインドネシアの様式の名前を付けていました。いま名前を付け直しています。
決めたことは2つです。1つ目は、どの制度にいるのかを、こちらで推測しないこと。会社設定では、登録証に書いてあるものを選んでもらう形にします。2つ目は、その項目に年を持たせること。今年はどの制度なのかを年ごとに持てば、去年の帳簿は去年の制度で計算できます。どちらもフィリピンのために書き足す変更ですが、直す場所はインドネシアと共通の部分です。国を1つ増やすと増えるのは、分岐ではなく、前提の見直しでした。
ジャカルタで昼に入るワルンでは、レシートは手書きが普通です。小さな紙に品名と数字が並んで、屋号の判子が押してあることもあれば、何も無いこともあります。それでも、その紙は確かに支払いの記録です。何が記録で、何が制度上の書類なのかは、国と年で決まっていて、店の側が決めているわけではありません。読み取りを試すたびに、そのことを思い出します。
念のため書いておきます。私は税理士ではありません。ここに書いたのは、公開されている様式と規則を読んで理解した範囲の話で、細かい条件も手続きも変わっていきます。金額の基準も、選び方の期限も、どの書類が要るのかも、業種や登録の内容で違います。実際の判断は、必ず現地の専門家に確認していただくようお願いします。
お願いがあります。フィリピンで申告をしている方、あるいはその手伝いをしている方に、登録証に何が並んでいるのかを教えてほしいと思っています。制度の説明ではなく、あなたの紙に実際に印字されている項目の並びです。私たちがいま作ろうとしているのは、その並びを写せる画面です。写すものを間違えたまま作ると、間違いは静かに残ります。
あなたの声を聞かせてください
KAZENAのアプリを使った感想、直してほしいところ、「こんな機能が欲しい」という提案——インドネシアやフィリピンの中小企業オーナーさん、フリーランスの方の声こそ、私たちが一番聞きたいものです。インドネシア語・英語のメッセージには、現地を知り尽くした仲間が応えます。また、KAZENA Booksはフィリピンとインドネシアでの展開がすでに決まっています。それ以外の国で一緒に展開してくださるパートナー企業様、システムのご購入をご検討の企業様も、お気軽にご連絡ください。新しいシステム開発のご相談もお受けしています。少人数のチームのため、すぐの着手をお約束できないこともありますが——日本品質(メイド・イン・ジャパン)のものづくりで、現地の商売に寄り添う開発を、一件ずつ丁寧に。
お問い合わせへ