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入口で何も言わず、出口で止めていた

2026年8月27日 · Taro(KAZENA代表)

「これはエラーですか」。8月18日に届いたのは、その1行と、画面を切り取った画像1枚でした。送ってきたのはVです。ジャカルタの会計士で、自分の事務所の実データでKAZENA Booksを試してくれています。画像に写っていたのは、入力の終わった表と、押しても沈まない書き出しボタンでした。

彼女がしていたのは、12件の支払について源泉徴収の書類を作り、Coretaxに出すためのファイルに書き出すことです。表の12行にはすべて緑の印がついていて、足りない入力はありません。それなのに、右下の書き出しボタンだけが灰色で、押しても何も起きない。彼女は20分ほど、行を1つずつ開き直して、どこを間違えたのかを探していたそうです。

原因は表の中にはありませんでした。別の画面にあったのです。書き出すファイルには、書類を出す事業者側の署名者——氏名と、どの資格で署名するのか——を入れる必要があります。その2項目が、この帳簿ではまだ空欄でした。置いてあるのは設定の中の会社情報という画面で、彼女が立っていた書き出しの画面からは、影も形も見えません。

手順書には書いてあります。私たちが配っている24ページのPDFの9ページ目、いちばん最初の設定の手順に、署名者の登録まで含めて書いてある。最初に思ったのは、そのページを案内すれば済む、ということでした。恥ずかしい話ですが、返信の下書きにページ番号を打ち込んだところで、手が止まりました。

手順書は、作った側が考える順番で並んでいます。設定して、登録して、記帳して、最後に書き出す。使う人はその順番で来ません。彼女がこの帳簿を作ったのは別の日で、その日にやりたかったのは記帳だけでした。書いてあることと、その人に読む機会が訪れたかどうかは、別の話です。前者を根拠に後者を責めるのは、ただの責任の押し付けです。

記録を数えました。6月1日から8月18日までに、書き出しの画面まで来てファイルを作らずに離れたのが68回。そのうち51回は、同じ理由——署名者が空欄——でした。その51回のうち、同じ日のうちに書き出しまでたどり着けたのは9回だけです。残りの人は、その日は何も持ち帰れていません。

ボタンは、理由を何も言いませんでした。私たちが用意していた説明は、カーソルを乗せると出る小さな吹き出しだけです。スマートフォンにカーソルはありません。押せないボタンは、押せない理由が見えないかぎり、故障として読まれます。彼女の「これはエラーですか」は、迷いの言葉ではなく、目の前にあるものの正確な描写でした。

そもそも、なぜ押せなくしていたのか。中身の足りない書類を役所に出させないためです。私たちはそれを慎重さのつもりでいました。ただ、そこで守っていたのは書類のほうで、画面の前にいる人ではありません。理由を言わずに禁じるのは、間違いの重さを、こちら側から相手側へ移す動きです。

テストで見つからなかった理由も書いておきます。空欄の状態は、1つの帳簿につき一度しか現れません。仲間のEは、ジャカルタから少し離れた町にいて、誰かに渡す前に必ず自分の端末で一通り触りますが、彼の帳簿では署名者が最初の日に埋まっています。最初の日を過ぎたら、あとは全員、2回目以降の道しか歩けない。私たちは、いちばん人が転ぶ場所を、いちばん通らない道に置いていました。

直しました。まず、ボタンはいつでも押せます。押すと、足りないのはどの項目で、それがどこにあるのかが出て、そのままその画面へ移れます。埋めて戻ると、12行の入力はそのまま残っていて、続きから書き出せる。行き先も戻り道も示さずに止めるのは、案内ではなく通せんぼです。

それから、入口でも言うようにしました。書き出しの画面を開いた時点で、足りない設定があれば、いちばん上に1行で出ます。作業を始めてから止められるより、始める前に分かるほうがいい。ついでに全部の画面を見て回りました。押せなくなるボタンは、KAZENA BooksとKAZENA Orderで合わせて11か所あり、理由を出していたのは3か所だけです。いまは11か所すべてが、押せない理由か、押したあとの行き先を持っています。

念のため書いておきます。私は税理士ではありません。署名者の欄は書類の形式に関わるところで、誰をどの資格で登録すべきかは事業者ごとに違います。私たちにできるのは、足りないものについてソフトが黙らないようにすることだけで、最終的な判断は必ず専門家に確認していただくようお願いします。

いま、社内に「これはエラーですか」という質問が回ってくると、私たちはまず、はい、と答えることにしています。コードがそのつもりだったかどうかは、あまり関係がありません。使う人が故障だと読んだなら、それは故障です。もしKAZENAのどこかで、押せないボタンが理由を言わずに黙っていたら、教えてください。その沈黙は、あなたのものではなく、私たちのものです。

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