請求書の画面から、PPNの欄を消してほしい。8月11日に、そういう問い合わせが届きました。短い1文で、理由は書かれていません。結論から書くと、私たちはその欄を消しませんでした。代わりに、手で打ち込めないようにしました。その方の画面からPPNの欄は消えましたが、直した場所は、言われたところとは違います。
前提を書きます。インドネシアで請求書にPPN(付加価値税)を乗せてよいのは、PKPとして登録した事業者だけです。年間の売上が48億ルピアを超えると登録が必要になり、それ以下なら任意です。登録していない事業者が請求書にPPNを書いて相手から受け取ると、それは預かってよいお金ではありません。この欄は、多くの利用者にとって、使わない欄ではなく、使ってはいけない欄でした。
私たちの画面は、そうなっていませんでした。請求書の入力画面には、金額の下にPPNの欄がいつも出ていて、誰でも数字を打てます。紙の請求書の見た目を、そのまま画面に移した結果です。紙の上では、要らない欄は空けておけばいい。空けておいてよい欄と、書いてはいけない欄の違いは、紙には書かれていません。私たちの画面にも、書いていませんでした。
数えました。動いている帳簿が612件。設定でPKPではないとしているのが449件。そのうち、PPNの欄に数字が入った請求書を1枚以上出しているのが37件ありました。請求書の枚数でいうと214枚です。
中身を見て、思っていたのと違いました。37件のうち9件は、その欄に入っていた数字がPPNではなく、源泉税の額でした。PPh 23の2%です。差し引かれる税を、上乗せする税の欄に書いていたことになります。請求書の合計は、本来より2%ぶん高く出ます。そして、差し引かれるはずの源泉税は、どこにも記録されていません。1枚の請求書の上で、間違いが2つ同時に起きていました。
なぜ混ざるのかを考えました。どちらも税で、どちらも請求書の下のほうに並ぶ数字です。違うのは向きだけです。PPNは、相手が払う額に足す。源泉税は、自分が受け取る額から引く。ジャカルタの会計士のVにこの話をしました。彼女は自分の事務所の実データでKAZENA Booksを20回以上試してくれています。向きが逆なのに、画面の上では同じ顔をして並んでいる、というのが彼女の言葉でした。慣れている人は、画面を見て見分けているのではなく、自分の知識で見分けている、とも言われました。見分けられるようには作っていなかった、ということです。
欄そのものを消さなかった理由は2つあります。1つは、買う側の画面ではこの欄が要ることです。PKPでない事業者でも、仕入先から受け取る請求書にはPPNが乗っています。控除はできませんが、支払った額としての記録は残ります。もう1つは、PKPかどうかが変わることです。売上が基準を超えれば登録することになりますから、去年は非PKPで今年はPKP、という事業者がいます。消すか出すかではなく、何によって決まるのかを書く必要がありました。
直した中身を書きます。会社の設定に、PKPとして登録しているかどうかの項目を1つ置きました。登録していない場合、売る側の請求書からPPNの行そのものが出ません。灰色にして押せなくするのではなく、出しません。書けない欄を残すと、なぜ書けないのかを、使う人が自分で推測することになるからです。登録している場合は、PPNの額を明細と税率から計算して出します。手で書き換えることはできません。数字を決める場所を、1か所にしました。
源泉税のほうにも、置き場所を作りました。請求書の下に源泉税の行を足して、そこは引く数字だと分かるようにしています。合計の並びは、小計、PPN、源泉税、受取額の順に固定しました。足す数字と引く数字が、並び順そのもので分かるようにしたかったからです。名前も直しました。以前は税額とだけ書いてありました。何の税かを書いていない欄は、読む人がそれぞれ違うものを思い浮かべます。
過去の214枚は、書き換えていません。他人の帳簿の数字を、こちらの判断で直すことはしないと決めています。代わりに、該当する37件の画面に一度だけお知らせを出しました。対象の請求書の一覧を出して、内容を専門家に確認していただくようにお願いしています。源泉税が混ざっていた9件には、個別に連絡しました。訂正が要るかどうかは、私たちには決められません。
設計として学んだことは、はっきりしています。打ち込める欄は、その数字を決めてよいという合図です。私たちは、欄を出すかどうかを見た目の問題だと思っていました。中身が正しいかどうかは、入力する人の側の話だと考えていたわけです。実際には、欄を出した時点で、私たちは、あなたはここに書いてよい、と言っています。書いてよいかどうかを判断する材料は、設定の中に、こちら側にありました。
念のため書いておきます。私は税理士ではありません。税率も基準の額も変わりますし、PKPの登録が要るかどうかは、事業の中身や取引の相手によっても違います。ここに書いたのは、私たちが自分の画面を直した記録です。実際の判断は、必ず専門家に確認していただくようお願いします。
お願いがあります。KAZENAの画面で、欄の名前と、そこに実際に入れている数字が違っている場所があれば、教えてください。名前を頭の中で読み替えれば使えてしまう欄は、こちらからは正しく動いているように見えます。今回のきっかけは、理由の書いていない1文でした。理由が分からなくても、まず送っていただければ、こちらで数えます。
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