仕事はひとりではできない。何を当たり前のことを、と笑われそうなタイトルですが、私はこれを本当の意味で理解するために、会社が潰れかけるという高い授業料を払いました。特にフィリピンとインドネシアで働くなら、この言葉は飾りではありません。今日はその話をします。
詳しい経緯は伏せますが、原因は私の無知です。誰のせいでもありません。判断を間違えたのは私で、全部、私の責任でした。経営者として情けない話ですが、KAZENAは一時、存続できるかどうかの瀬戸際まで追い込まれました。以前の記事で「あるトラブル」とだけ書いたのは、実はこのことです。
夜、天井を見ながら「畳むしかないのか」と考えたことを覚えています。でも、諦めていない人たちがいました。私ではありません。創業からの相棒であるインドネシア人の仲間と、マニラで出会ったフィリピン人の同僚です(例によって、ふたりの名前は伏せます)。落ち込んでいる私をよそに、彼らは淡々と、いまできることを一つずつ進めてくれていました。あの背中を見て、私はもう一度立つことにしました。
そして彼らは、新しい仲間まで連れてきてくれました。インドネシアの法務関連に詳しい現地の女性です(彼女の名前も伏せておきます)。その知識を借りない手はないので、いまは KAZENA Books のテスターに加わってもらい、法務の目線から製品を遠慮なく叩いてもらっています。
私はかねがね、エンジニアとしての腕前以上に、お客様の気持ちを理解して、それをマネジメントや仕様に落とし込める人の存在こそが重要だと考えています。コードは書き直せます。でも「使う人の気持ちが分かる」は、簡単には手に入りません。仲間たちは彼女と一緒に、KAZENA Books の修正や改善提案に毎日取り組んでくれています。正直、私より真剣かもしれません。
私には、幼い頃から大好きで、いまも勇気をもらっている日本の漫画があります。『SLAM DUNK』です。名将・安西先生の、あの名言。「あきらめたらそこで試合終了ですよ」。まさに今の私たちは、その台詞がそのまま当てはまる状況です。それなのに、口をついて出てくる感想はひとつだけ。楽しい!です。
KAZENA Books を使ってよかった、便利になった。そう言ってもらえる日を夢見て、今日もプログラムを書いています。仕事はひとりではできない。だからこそ、面白いのだと思います。